冷たい人形
子供の頃・・・小学校に入ったかどうかの頃・・・記憶も定かではナイ頃。
父と何故か市内のデパートへ行った時、私は迷子になってしまいました。もの凄く泣いた記憶が有ります。
もっと幼い頃に両親が私を祖父祖母に預けて仕事に他県に行ってしまった事が有り、またも独りにされたと思ってしまったのです。
どのくらい泣きながら歩き回った事でしょうか、ふと手に触れるものが人の手のように感じ「お父さん」って感じで握りしめました。
でも、それは冷たいマネキンの手だったのです。
廻りを見ると無数の白いマネキン達。青く大きな眼が私を見つめています。今にも動きそうな人間そっくりの人形の群れ・・・
その怖さは今でも背筋が冷たくなってしまいます。
暫くして父が見つけてくれたのですが、そのトラウマからか私は人形が大嫌い・・嫌、怖くて仕方がナイのです。
あの匂いも、佇まいも。
今でも当然ですが、人をモチーフにした置物なども無理です。リアルになればなるほどに抵抗感が増します。
私が嫌いな物、それは人形。そして無機質で冷血で責任感が希薄な人形のような人達です。